片思い?両思い?
「よぉ・・・香奈枝・・・浮気か?」
「違います!ちょっとナンパしただけです」
「ほぉ・・・香奈枝にナンパされるとは・・・やるね、隆平君」
洸一さんの顔が怖いんですけど・・・
「え?・・・いえ」
香奈枝さんは、その姿をみて「はぁ」とため息をもらす。
「洸一・・・いい年してヤキモチはやめてよ・・・」
「は?」
ヤキモチ?
「うっせ。お前に近づく男は誰であろうと嫌なんだよ」
・・・・マジ?
だって、早瀬グループの社長だよな?
ドカッっと椅子に座ると
「ま、将来どうするか悩むのは勝手だ。頑張り次第でどうにでもなる。だけど好きな女の気持ちは、手放すと戻らないぜ?隆平はそれでいいのか?お前の隣に理沙がいなくてお前は幸せになれんのか?俺は香奈枝がいないと幸せにもなれねぇし、仕事も頑張れねぇけどな」
・・・理沙が隣に・・・いない?
「なぁ隆平。生きてれば必ず腹を括らなくちゃいけない時ってのが出てくる。逃げてるだけじゃ誰も幸せになんてならねーぞ?まぁ、腹を括るにはまだ早いと思うけどな。とにかく出来るだけの事はやってみろ。結果どうなるかなんて誰にもわからねぇよ」
「洸一さん」
「好きな女の手だけは・・・離すなよ」
「・・・・はい」
「隆平も理沙もまだ若い。考えるよりも、動けよ。前へ進め。過去は過去。そんなことにこだわってたら何もできねぇ。特にこれから先、理沙と本気で一緒になろうと考えてるならなおさらだ。お前が後ろを振り返ってる時間なんてねーんだぞ?」
「はい」
言葉が重く俺の心に突き刺さる。
「好きな女を泣かせたりすんな」
「え?・・・」
俺が疑問を投げかける前に
「じゃ」
と言って席を立つ洸一さん。