片思い?両思い?
隆平と理沙
私の腕を引っ張りながら、どんどん進んでいく隆平。
後ろから着いていくのが精一杯だった。
「りゅ、隆平・・・早い・・・」
私の言葉など全く耳にはいっていない様子だ。
「隆平ったら!」
「あ・・・悪い」
私の声に我に返ったような顔をする。
その顔はもう、怒ってる時の怖い顔じゃなくて・・・私の知ってる隆平の顔だった。
隆平と私はその場に立ち止まる。
そして隆平がゆっくりと口を開いた。
「理沙」
「何?」
何を考えてるの?
「俺・・・怖かったんだ」
隆平の本音なの?
教えてくれるのかな・・・。
「何が?」
今まで語られることの無かった隆平の本音。
「つい最近まで、何事もなく過ごしてた。当たり前のように・・・。」
「うん」
私だってそうだよ・・・。
「だけど、暁先生と一緒に、洸一さんの家に行って・・・情けねーけど、ビビッた」
「・・・うん」
私だってビックリしたよ?
それとは違うんだよね?
「理沙が背負っているものを俺なりに理解してるつもりだった・・・けど、ダチから政略結婚の話とか、医者を継ぐとか、啓斗さんの事とか・・・なんだか理沙が急に遠くに行ってしまうように感じたんだ」
そんなに差があるものなのかな・・・私たちの生活って・・・。
隆平が私を遠くに感じるほど・・・?
「焦った。何かすげぇ焦って・・・このままじゃ、俺このままじゃダメだって。何一つ理沙につりあってない。・・・だけど、どうすればいいかも全くわからなくて・・・一人でイライラして・・・理沙に八つ当たりした。ごめん」
隆平・・・。