片思い?両思い?
「私こそ・・・・ごめん」
「理沙?」
「隆平がどんな気持ちで言ってくれてたか、全く解ってなかった」
「・・・何・・を・・」
「隆平が側にいてくれることが、いつの間にか当たり前になってて・・・どんなことを考えているかなんて考えたことも無かったの・・・ごめんね」
「理沙・・・」
私はいつもそうだ。
相手を思いやる気持ちなんて・・・全然ない。
私の周りは・・本当に優しい人ばかりで・・・一番子供なのは私。
皆に頼って、何とかしてくれるだろうって甘い考えで、大好きな人たちを悩ませて苦しめて・・・それなのに・・誰も信じることが出来なかった。
それを私自身がわかっていなかった。
そうなったのも、きっと中学のときのあの言葉。
「私ね、中学のとき付き合ってる人に『理沙と結婚したら将来遊んで暮らせるな。だって理沙が稼いでくれるんだろ?』って・・・『ばれなきゃ浮気もし放題だな』って、友達と話をしてるところを聞いて・・・中学生の話だから深い意味はなくて・・・婿養子に来る大変さとかも彼も私もわかっていなくて・・・だけど私と付き合う人はお金目当てなんだって、私のことが好きなんじゃなくてお金が目当てなんだって、ずっと思ってた」
「・・・その男って、さっきの?」
「違う!ノブはそれを知ってて、私の不安を取り除いてくれようとしてたらしいの」
「・・・・そう」
顔が怖いよ。隆平。
「ノブのことも、信じてあげられなかった。隆平のことも好きだけど、どこかで信じられない自分もいて・・・付き合う事と結婚は違うものなんだって、だからあまり好きにならないようにって自分で自分にブレーキをかけてた」
隆平・・・本当にごめん。
お父さんのこと、悪く言えないよね。
私自身、世間体を気にしてたんだから・・・隆平に会うまでは・・・。