片思い?両思い?


「この前、トイレに入った時、たまたまなんですけど彼女さんと友達が話をしてたのを聞いたんです」

「そうか」

「それがどうかしたんですか?」

「・・・早苗ちゃんの悪い癖が出てね・・・恵一と遊んだらしい。・・・しかもホテルに入ったところを友達に見られてね・・・今噂が広がってる・・・日向の耳に入るのも時間の問題なんだ」

「・・・・・そ、そうですか・・・」

なんて言ったら良いのか分からなくて。

「これを機会に早苗ちゃんから日向を引き離したい」

「え?」

「今回のが初めてじゃないんだ・・・でも日向は知らない。俺が日向の耳に入らないようにしてきたから・・・だけどこんなことが何回も続くようじゃ・・・隠しようがない」

・・・それで私に・・・何を求めてるの?

「私にどうして欲しいんですか?」

「なにも・・・ただ側にいてやって欲しいだけ」

「へ?」

側にいるって・・・。

「日向を本当に好きな茜ちゃんだから、お願いしたいんだ。・・・茜ちゃんにとっては残酷なことを言ってるのは分かってるんだけど・・・」

「ちょ・・ちょっと待ってください・・・意味が・・・意味が分からないんですけ・・・」

言いかけたその時

「隆平!」

クラスの男の子が隆平さんを呼んだ。

「なんだよ!?」

「早苗ちゃんと恵一のことが日向の耳に入ったらしくて、殴り合いになってる!」

え?

「マジか!?・・・くそっ」

そう言って隆平さんとその人は教室へ向かう。

私はどうしたらいいか分からなかった・・・でも、理沙が

「行くよ!茜!!」

と腕を引っ張る。




< 22 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop