片思い?両思い?

理沙の教室に顔を出すと

「お、来たね。じゃ、行こうっか」

と、場所を移動した。

天気が良かったから中庭にでて、お弁当を広げた。

「今日はどうしたの?めずらしいね」

私が聞くと理沙は呆れたように

「茜が泣きそうな顔してるからでしょ~」

と、お弁当をつまみながら言った。

「え?・・・いつ?」

「朝、日向先輩に円が触れたときとか、萌に日向先輩が笑顔を見せたときとか・・・本当にわかりやすいんだから・・・ま、気がついてるのは、私くらいだけどね」

「りさぁ~」

やっぱり、理沙だ。

「あ~、はいはい。何?嫉妬?」

「・・・うん」

「また、自信ない~とか、思ってるんでしょ?」

「・・・はい」

「日向をとられちゃう~・・心変わりしたらどうしよう~・・・振られたらどうしよう~ってとこ?」

「・・・はい・・・その通りです」

「隣にも行けないし?触って欲しくないし?日向は私のものよって?」

「・・・はい・・・」

私はどんどん下を向く。

「変なのかな?私おかしいのかな?そんな風に思うの・・・だって日向は私のものじゃないのに・・・どうしたらいいの?理沙」

「・・・仕方ないんじゃない?」

「え?」

「それが普通よ」

「普通?」

「そ。茜はさ、片思いしてたとき、隣にいた彼女が羨ましいと思ってたでしょ?」

「うん」

「でも、隣にいるのが自分になって、今まで知らなかった感情が出てきたのよ」

「あ!・・うん」

「隣にいるって・・意外に大変よ?特にモテる人ならなおさら。ヤキモチなんてどのくらい焼いたことか・・・」

「理沙でもやくんだ・・」

「いつでも、やきまくりよ!?」

「・・・そっか」

「そうよ。でも、あんまり顔に出さないほうがいいわよ・・・嫌がられるから」

「・・・わかった。努力する」

「愚痴はいつでも聞くからさぁ・・・泣くのだけはやめてよね」

「泣かないもん」

「どうだか?」

「もぅ・・・いじわる~」

理沙に話を聞いてもらって、ちょっと心が軽くなった。











< 221 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop