片思い?両思い?

〜日向〜

どうして。

なんでこんな事になってしまうんだ。

「茜!」

走って追いかけるけど、本気で走る茜の足にはなかなか追いつけなくて。

くそっ。

速すぎだろ!

「あ!」

追いつく寸前で、駅に入って行ってしまった。

定期・・・持ってんのか。

そのまま茜は改札を抜けて、電車に乗り込んだ。

切符を買ってたら間に合わねぇ。

「くそっ」

俺は一旦家に帰って、バイクで探しに行くことにした。



家に着くと夕陽と円が心配そうに待っていた。

「茜さんは!?」

夕陽が聞く。

「電車に乗った。バイクで追いかける」

俺はそれだけ言い残すと、家に入り鍵を持ちバイクに乗った。



あんなに追い詰められていたなんて・・・俺何やってんだ・・・。

ボロボロ泣いて、怒って・・・絶望したような顔・・・あんな茜の顔初めて見た。


茜はいつも笑っていて、楽しそうに笑っていて。

素直で、優しくて、ふわふわして・・・居心地がすげぇ良くて。

その居心地のよさに、ずっと甘えていたのも解らず・・・。


不安を取り除くような言葉も態度も示してやれず・・・真っ直ぐな思いを踏みにじった。

彼氏失格だな。

あんなに追い詰めて・・・。


茜・・・どこ?

どこにいる?

電車の向かった方向は学校だ。

どこだ?

どこにいる・・・・。







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