片思い?両思い?
「円が好きなのは俺じゃない」
抱きしめたまま話をする。
「・・・え?」
「夕陽だよ」
「・・・夕・・陽君?」
「ああ・・・それで夕陽にあわせて欲しいって、頼まれて・・」
「それなら・・・どうして言って・・・くれな・・?」
「夕陽に・・・茜を会わせたくなかったから」
「・・な・・んで?」
「夕陽が茜を好きだったから・・・」
「え?・・・う・・そ・・・」
「本当・・・茜気がつかねーんだもん。・・・俺ヤキモチやいたよ・・・」
「やき・・もち?・・・いつ?」
「茜が夕陽と話をした日」
ああ~。かっこ悪い。
恥ずかしい。
「え・・・・あ・・あの日、何か変だったのって・・・」
「ヤキモチやいたんだよ・・・夕陽に・・・」
「だって・・・腕組んで・・・た」
「ああ・・・妹みたいに思ってたから・・・そんなに気にしてなかったんだけど・・・。嫌だったよな?ごめんな」
「本当・・・・?今の話本当?」
抱きしめる腕に力を込める。
「全部本当。嘘は、なし」
「・・・・っ・・うぇっ・・・・」
俺の体に腕をまわしてくれることにホッとする。
「ごめんな。不安になったよな?」
首をただ縦にふる。
「言葉・・・足りなくて。茜はわかってくれるだろうって勝手に思い込んでたんだ」
「言ってくれなきゃ・・・わかんないよぉ」
「だよな・・・」
「もう、私のこと嫌いになったのかと思った」
「そんな事・・・あるわけねーじゃん」
「もう・・・いらないのかと思った」
「・・・ごめん」
泣きそうになった。
いらないなんて・・・言わないでくれ。
「側にいられなくなちゃったのかと・・おも・・・・ん」
俺は体を離すと、強引に唇を重ねた。
もう・・・嫌だ。
茜からこんな言葉を聞くのは・・・。