片思い?両思い?


「茜?」

「思いが通じて付き合うことになったら・・・相手の欠点なんて見えなくなるのよ。隣で笑ってくれるだけで幸せな気持ちになるのよ」

ただ・・・それだけなんだよ。

だって、彼女の話をしてるのに私は日向先輩の隣に座っているだけで、こんなに幸せなんだから・・・・。

「それを離したくないって思うことは当たり前のことでしょう?」

「そうだけど・・・」

「その人の恋が間違ってるとか・・そんな事周りが決めることじゃないわよ。本人がそれで良いならいいのよ。後は何がどうなっても自分の責任よ」

「だけどそれじゃ・・日向が・・」

隆平さんは心配そうだ。

「日向先輩は・・・彼女と別れたいんですか?」

私の質問に

「いや・・・別れたくない」

と、はっきり言った。

「それは、恵一先輩にとられたくないって思ってるから?」

「違うよ・・・好きだからだよ」

さすがに本人の口から聞くと・・・辛いな。

「じゃあ・・・別れなくても良いんじゃないですかね?」

「ちょっと、茜・・・」

「ボロボロになったら、手を差し伸べてくれる人はいますから・・・今はムリに別れなくても良いと思います。・・・愚痴くらいなら聞きますよ?」

笑顔で言う私に

「ありがと」

と照れくさそうに笑う日向先輩が・・・可愛かった。


私の言葉に理沙も隆平さんも呆れ気味。








「人が良いにもほどがあるわ」

理沙が私に呟く。

あれからすぐに、日向先輩は早苗さんに連絡をして会いに行った。

「・・・さっき分かったんですけど、隆平さんが言ってた事ってこう言うことでしょ?」

私の言葉に、隆平さんはすまなそうな顔をして、

「そうだね」

と頷いた。









< 30 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop