片思い?両思い?
「茜?」
「思いが通じて付き合うことになったら・・・相手の欠点なんて見えなくなるのよ。隣で笑ってくれるだけで幸せな気持ちになるのよ」
ただ・・・それだけなんだよ。
だって、彼女の話をしてるのに私は日向先輩の隣に座っているだけで、こんなに幸せなんだから・・・・。
「それを離したくないって思うことは当たり前のことでしょう?」
「そうだけど・・・」
「その人の恋が間違ってるとか・・そんな事周りが決めることじゃないわよ。本人がそれで良いならいいのよ。後は何がどうなっても自分の責任よ」
「だけどそれじゃ・・日向が・・」
隆平さんは心配そうだ。
「日向先輩は・・・彼女と別れたいんですか?」
私の質問に
「いや・・・別れたくない」
と、はっきり言った。
「それは、恵一先輩にとられたくないって思ってるから?」
「違うよ・・・好きだからだよ」
さすがに本人の口から聞くと・・・辛いな。
「じゃあ・・・別れなくても良いんじゃないですかね?」
「ちょっと、茜・・・」
「ボロボロになったら、手を差し伸べてくれる人はいますから・・・今はムリに別れなくても良いと思います。・・・愚痴くらいなら聞きますよ?」
笑顔で言う私に
「ありがと」
と照れくさそうに笑う日向先輩が・・・可愛かった。
私の言葉に理沙も隆平さんも呆れ気味。
「人が良いにもほどがあるわ」
理沙が私に呟く。
あれからすぐに、日向先輩は早苗さんに連絡をして会いに行った。
「・・・さっき分かったんですけど、隆平さんが言ってた事ってこう言うことでしょ?」
私の言葉に、隆平さんはすまなそうな顔をして、
「そうだね」
と頷いた。