片思い?両思い?


「綺麗な髪だね」

そういいながら私の肩より少し長めの髪に触れる。

「・・・やだ!」

咄嗟に男の子の手を振り払ってしまった。

明らかにムッとしたような顔になる。

「あ・・・あの・・・髪に触るのはやめてください」

・・・なんで丁寧な言葉使いになるのよ・・・。

もう・・・早くどこかに行ってよ・・・。

「ねえ、あっち行って遊ぼうよ」

今度は腕を掴み引っ張ろうとする。

ちょ、ちょっと・・・ヤダヤダ!!

振り払おうとするけど・・・力が強くて振りほどけない。

少し引きずられるような形で連れて行かれそうになったとき、



「おい、誰に手ぇだしてんの?」



振り返ると・・・・日向先輩。

気が付いてもらえた嬉しさで、目に涙が溜まる。

「悪いけど、俺んだから」

日向先輩は男の手から私を引き離すと、自分の方に持っていく。

その弾みで・・・・・日向先輩の・・・腕の中にすっぽり入ってしまった。

うわああああああ。

体が硬直する・・・。

チッっと舌打ちが聞こえて、男は違う場所へ行ってしまった。


「大丈夫?」

心配そうに除きこむ日向先輩に

「あ、は・・・・はい」

と言ったとたん涙が溢れて・・・。

こ、こんなことで泣くなんて・・・子供じゃないんだから・・・。

「あ、ご、ごめんなさい・・・なんかホッとしちゃって」

ポケットから取り出したハンカチで涙を拭いて・・・ニコッと笑って見せた。






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