片思い?両思い?
ちょっと違うんだけど・・・話してもいいのかな。
「私中学のとき、陸上部だったんですけど」
「うん?」
突然話し始めたから驚いて私を見る。
「最後の大会の前に怪我しちゃって」
「・・・怪我?」
「はい・・・それで大会には出られないって医者からは言われたんですけど・・・先生に黙って出場して・・・結果は散々でした。後で怪我のことがばれて、怒られましたけど」
「そりゃ、当たり前だ」
「ふふ・・・それが原因でもう陸上選手としてはダメになちゃって」
「え?」
「・・・でも、後悔はしていないんです。・・・それに全く走れなくなったわけじゃないから・・・今も朝か夕方時間があると走ったりしてるんですよ」
そう言って私は日向先輩に笑顔を見せた。
「それでもしばらくは家族に八つ当たりとかもしてたんです。でも先生に「大会に出ると決めたのはお前だ。誰にも相談せずリスクも考えず、我侭を通した。その結果が今のお前なんだよ」って」
そう、大会に出ると決めたのは私自身だった。
「・・・・生きていれば必ず分かれ道が現れ、腹をくくらなければならないときはくる」
「・・・うん」
小さく頷いてくれる日向先輩。
「たくさん悩んで、ひたすら考えて、時には人を頼って・・・後悔しないようにしろって言われて・・・そのときは言ってる意味がよくわからなかったんですけど・・・今はなんとなく分かります」
「・・・そう」
「だから日向先輩も今は分岐点なんだと思います。恋愛だと・・・ちょっと違ってくるのかもしれないけど・・・隆平さんはきっと日向先輩の力になってくれると思いますよ?」
・・・なんだか訳の分からない話をしてしまったような気がする・・・。
だって・・・付き合ったりしたことないんだもん・・・何を言っていいか分からないよ・・・。
「俺・・・いつも茜ちゃんに背中押してもらってる気がする」
そう言って優しい笑顔を向けてくれた。
「そ、そうですか?」
照れくさいし・・・日向先輩の力に慣れていることがとても嬉しかった。
・・・その反面辛い。
はぁ・・・側にいるのに・・・遠いなぁ・・・。