片思い?両思い?


ちょっと違うんだけど・・・話してもいいのかな。

「私中学のとき、陸上部だったんですけど」

「うん?」

突然話し始めたから驚いて私を見る。

「最後の大会の前に怪我しちゃって」

「・・・怪我?」

「はい・・・それで大会には出られないって医者からは言われたんですけど・・・先生に黙って出場して・・・結果は散々でした。後で怪我のことがばれて、怒られましたけど」

「そりゃ、当たり前だ」

「ふふ・・・それが原因でもう陸上選手としてはダメになちゃって」

「え?」

「・・・でも、後悔はしていないんです。・・・それに全く走れなくなったわけじゃないから・・・今も朝か夕方時間があると走ったりしてるんですよ」

そう言って私は日向先輩に笑顔を見せた。

「それでもしばらくは家族に八つ当たりとかもしてたんです。でも先生に「大会に出ると決めたのはお前だ。誰にも相談せずリスクも考えず、我侭を通した。その結果が今のお前なんだよ」って」

そう、大会に出ると決めたのは私自身だった。

「・・・・生きていれば必ず分かれ道が現れ、腹をくくらなければならないときはくる」

「・・・うん」

小さく頷いてくれる日向先輩。

「たくさん悩んで、ひたすら考えて、時には人を頼って・・・後悔しないようにしろって言われて・・・そのときは言ってる意味がよくわからなかったんですけど・・・今はなんとなく分かります」

「・・・そう」

「だから日向先輩も今は分岐点なんだと思います。恋愛だと・・・ちょっと違ってくるのかもしれないけど・・・隆平さんはきっと日向先輩の力になってくれると思いますよ?」

・・・なんだか訳の分からない話をしてしまったような気がする・・・。

だって・・・付き合ったりしたことないんだもん・・・何を言っていいか分からないよ・・・。

「俺・・・いつも茜ちゃんに背中押してもらってる気がする」

そう言って優しい笑顔を向けてくれた。

「そ、そうですか?」

照れくさいし・・・日向先輩の力に慣れていることがとても嬉しかった。

・・・その反面辛い。

はぁ・・・側にいるのに・・・遠いなぁ・・・。














< 42 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop