片思い?両思い?
第5章
日向先輩
「茜ちゃん」
俺が名前を呼ぶと
「はい?」
返事をして俺を見上げる。
土砂降りの雨の中、俺は茜ちゃんにキスをした。
---どうしてこんなことになったのか。
それは隆平が小野 理沙ちゃんに告白したことから始まった。
「おい!日向」
昼休み教室に駆け込んできた隆平は、飛び切りの笑顔をしていた。
「なんだよ?」
「告白した!」
「は?誰に?」
「小野 理沙ちゃん」
「小野・・・理沙・・・?」
聞いたことがある名前だな・・・・誰だったかな。
隆平は男の俺からみてもかなりのイケメンだと思う。
俺は可愛い顔だね・・・と良く言われるが・・・あまり男としては嬉しくない。
隆平はカッコイイと言う言葉がぴったり当てはまる。
モテるから、女に不自由したことはないはずだが・・・小野理沙ちゃんは何だか特別らしい。
「今日から一緒に帰るんだ~」
今にも踊りだしそうな勢いだ。
「そんなにいい女なのかよ・・」
「ああ・・・まあ、ある意味理沙ちゃんに会いたいが為にこの高校を受験したと言っていい」
「は?」
「理沙ちゃんはこの高校に入ることが決まっていたからな」
「・・・ストーカー?」
「ばっ・・・違うよ!・・・いや・・・そうかもな」
ニヤリと笑う隆平。
「まぁ、深い話は聞かないでおく」
「おう・・・日向は?今日は早苗ちゃんとか?」
「ああ・・・まぁな」
「何だよ・・・また、うまくいってないのか?」
「またって言うか・・・付き合い始めてうまく行ってる事がねーよ」
「・・・なんで付き合ってるかな・・・」
呆れ顔の隆平。
「うっせーよ」
そのまま机に不貞寝する俺。