片思い?両思い?


「日向!痛い!!・・・どうしたって言うのよ!?」

引きずるような形で俺は早苗を誰もいない校舎脇に連れて行く。

「早苗」

俺が怒っているのが分かったのだろう。

「何?」

恐る恐る答えるのが分かる。

「ここ最近、一緒に帰らなかったのは恵一と一緒にいたからなのか?」

「・・・・・」

「もう、分かってる。正直に言ってくれ」

「・・・ごめんなさい」

・・・ごめんなさい・・・それが答えか・・・・。

「お前の彼氏は誰なんだよ!?」

「・・日向だよ・・」

「・・・表向きはな・・・」

「ひどい・・そんな言い方・・・」

「ひどい?ひどいことをしているのは一体どっちなんだよ!」

「・・・ど、怒鳴らないでよ」

早苗の目に涙が溜まる。

・・・分かってる・・・これは早苗の計算だって事。

泣けば俺が何も言わなくなることを知ってて・・・自分が弱い立場になると必ずするんだ。

はぁ・・・もう、潮時かな・・・。

「・・・別れるか?」

「え?・・・」

「・・・もう、ムリだろ?俺たち」

「ちょ、ちょっと待ってよ・・・」

いつも別れたいって言ってたのは早苗で・・・俺は別れるなんて絶対に嫌だった。



< 61 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop