片思い?両思い?


本当に嬉しそうな茜ちゃんに

「違うのも取ってやろうか?」

と、口が勝手に動いていた。

「え?え?」

オロオロしている茜ちゃんに

「こっちおいで」

と手招きをする。

真っ赤になりながら・・・ロボットみたいに歩いてこっちに来る。

その時点で、笑いそうだ。

お金をチャリンと入れて

「どれでもいい?」

と聞いたら

「はい!なんでも!なんでもいいれす」

プハッ・・・噛んだよ。

「プッ・・・取る前に笑わせるの禁止ね」

余裕の微笑で返してみるものの・・・顔がニヤついてる。

「わぁ〜。すごい」

手を叩いて、目をキラキラさせてのぞいている。

可愛いって。

「はい、どうぞ」

取ったぬいぐるみを差し出すと

「え?こ、これも?」

と驚いてる。

「どうぞ」

と言った途端、すげぇいい笑顔になる。

本当になんかちょっと嬉しいかも。

「そんなに嬉しいの?・・・それ、可愛くないのに」

聞いてみると

「いいんです。いいんです」

満面の笑みで返事をする。

こんなのでこんなに喜んでくれるんだもんな。

「・・・・あ!」

「どうした?」

「お金!」

「は?」

「ぬいぐるみの、お金やらなくちゃですね・・・」

私が鞄から財布を取りだそうとする。

「いいよ。お金いらないよ」

400円だしね。

「で、でも・・・」

困ってるな・・・。

「機嫌の悪い俺に付き合ってくれたお礼」

それに、そんなに喜んでくれた御礼。

「もらっておきな、茜ちゃん」

隆平が言うと

「本当にいいんですか?」

もう一度確認する。

「うん、いいよ」

「ありがとうございます!!」

ははっ・・・なんか踊りだしそうに喜んでるな。

本当に可愛いよなぁ。












< 69 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop