片思い?両思い?
「こっち」
茜ちゃんの腕を引っ張り自販機の前に連れて行った。
「なんでもいい?」
顔をみると、コクンと頷く。
俺はミルクティーを買って、蓋を開けて近くにあった椅子に座らせた。
一口飲むと、顔が穏やかになるのが分かった。
「落ち着いた?」
俺も隣に座り、少し覗くような感じで茜ちゃんをみた。
「あ、はい・・・すいません。ナンパされて泣いた上にミルクティーまで・・・・」
う〜ん・・・言うこともすることも・・・可愛いと思ってしまうんだが・・・なんでだ?
「はは・・気にしないで・・・俺、バイトしてるし。多少の金は持ってるから」
「え?・・・バイトしてるんですか?」
「うん。朝の新聞配達なんだけどさ。・・・野球やめてから運動代わりにね」
「・・・そうですか」
なんで茜ちゃんが落ち込むかな・・・。
「野球・・・もうしないんですか?」
あれ?俺が野球やってたこと知ってるのか?
「・・・うん。肩痛めちゃったから・・・」
・・・だからその顔やめろ・・・襲いたくなるだろ・・・ってなんだ?この感じ・・・。
「全く投げられなくなったんですか?」
「いや、連続でないなら大丈夫だけど・・・」
「町内会の草野球とかなら出来るんじゃないですか?」
「は?」
町内会の草野球?
「あの、私の町内会はマラソン大会とか草野球大会とかあるんですけど・・・あ・・・すみません。余計なお世話ですよね・・・」
「草野球ね〜・・・考えつかなかったな。」
「あ、すいません・・・忘れてください」
そう言えば、前に親父に進められたような気がする。
そのときは肩を痛めた直後だったから、話を聞く余裕なんてなかったしな。
・・・また、野球出来るかな。
帰ったら親父に聞いてみるか。