片思い?両思い?
「茜」
隆平と理沙ちゃんがやって来た。
「茜ちゃん、大丈夫だった?」
隆平が心配そうに聞くと、
「はい・・・日向先輩が助けてくれたので」
嬉しそうに話している。
あ〜、本当になんでそんなに可愛いこと言ってくれるかな。
「だから前から言ってるでしょ?茜はモテるんだからナンパの断り方勉強しなさいって」
理沙ちゃんは口を尖らせている。
「え〜?私モテないよ?・・・ナンパされる時は理沙と一緒の時じゃない」
「あれ?茜ちゃん・・・自覚なし?」
隆平と一緒に首をかしげる姿がまた、可愛い。
「自覚?」
「プッ・・・まねしなくて良いよ」
隆平に言われて、慌てて首を戻す。
「本当に天然だよな・・・」
容姿は綺麗系なのに、天然ってたまらんな・・・・・オヤジか、俺。
「なんか・・・この中にいると私だけ子供みたい・・・」
子供・・・と言うか素直なんだろうな。
遊びとかも慣れてないみたいだし。
「まぁ、そこが茜のいいところよ」
そそ、そこが茜ちゃんの魅力なんだよ。
「ま、気にすることねーよ」
隣に座ってる茜ちゃんの頭をポンポンとすると顔が真っ赤になる。
「やだやだ・・見ないで!」
鞄で隠している茜ちゃんが、可愛くて、面白くて・・・笑った。
・・・早苗に茜ちゃんの素直さが少しでも・・・あればなぁ・・・。
あんな小さなぬいぐるみでも、凄く喜んでくれて・・・・早苗は「あれとってよ」と言ったらとるまで何回でもやらせるし、取ってもそんなに喜んでくれないしな・・・。
家までの帰り道、考えるのは早苗のことより茜ちゃんのことの方が多かった。
今日、何回茜ちゃんが可愛いと思ったことか・・・。
思い出してはニヤニヤしている自分がいる。
ゲームセンターに行くまでのあの憂鬱な気分が嘘みたいに晴れていて・・・野球のこともちょっとした希望に変わっていた。