片思い?両思い?
「ひ、日向先輩?」
「茜ちゃん?」
・・・分かってるくせに・・・俺は役者か・・・。
「おはよう」
笑顔で茜ちゃんに近づいた。
「お、おはよう、ございます」
噛まないように丁寧に言ってるのが分かって
「プッ・・朝から面白いね」
思わず笑ってしまった。
それから、茜ちゃんがストレッチを始めたので、俺も隣で一緒にやることにした。
「日向先輩・・・どうしてここに?先輩の家ってこっちではないですよね?」
ストレッチをしながら聞いてきた。
「ああ、新聞配達の帰りなんだ・・・走ってる茜ちゃんらしき人を発見してさ・・・」
「え?そうなんですか・・・全く気が付きませんでした」
まぁ、気がつかれないように後をつけてたから・・・って尾行かよ。
「半信半疑だったんだけどね」
「そうですか・・・」
「毎日ここ?」
「いえ、毎日ではないです。晴れた日の朝か夕方時間があるときにだけです」
「そう・・・・でも、ここって見晴らしがいいね」
こんな場所があるなんて知らなかったな。
「はい!・・・嫌なことがあったりするとここに来てるんです」
ははっ・・すげぇいい笑顔だな。
「そっか〜・・・俺もたまに来ようかな・・・ところでさ・・・」
「はい?」
「その袋なに?」
ずっと気になってた。
「あ、レモンの蜂蜜漬けです」
やっぱり!俺、大好物なんだよね。
「食べますか?」
俺の顔に気が付いたのか差し出してくれた。
「いいの?」
まじ?いいの?
「はい。どうぞ」
「ありがとう」
やった!
一口食べると、甘さがちょうどいい・・・
「うめぇ〜」
と、叫んだ。
そんな俺を茜ちゃんはニコニコと笑顔で見ていた。