片思い?両思い?


「もしもし・・・あ?ああ、雨もやんだしこれから行く」

電話を切って茜ちゃんを見ると・・・・真っ赤になって俯いていた。

・・・やめろ・・・可愛すぎて、襲いたくなる。

俺は平常心、平常心と言い聞かせ

「隆平からだったよ。・・・雨もやんだし、駅に行こうか」

ちょっと茜ちゃんを覗き込むと、目が合う。

「あ・・・はい」

恥ずかしそうに頷くのを見て、ちょっと安心した。

避けられたら・・・泣いてダッシュしますよ?


倉庫を出た俺たちは何故か並んで歩かない・・・俺の2歩くらい後ろを付いてくる茜ちゃん。

少し歩いたところで、

「あの・・・さ」

話しかけて後ろを振り向くと、少し離れた後ろのほうで立ち止まっていた。

「どうかした?」

茜ちゃんの所に行こうとすると、ハッとしたように俺のところへ来て手を掴む。

「行きましょう!」

え?え??なんで手を繋いでんの?

茜ちゃんがどんどん進んでいこうとしたとき・・・

「・・・早苗?」

道路をはさんで建物の中に見えたのは・・・早苗と恵一。

しかもキスしてるし・・・。

ビクッと握られていた手が反応する。

振り向いた茜ちゃんの目には涙が溜まっていて・・・

「すみません。私が・・・立ち止まらなければ・・・」

ああ・・・俺に気がつかせないようにしたかったのか。

「気にしなくていいよ」

笑顔で言う俺を見て

「でも・・・」

あ・・・泣いちゃった。

そっと指で涙を拭いた。


< 89 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop