片思い?両思い?
「もしもし・・・あ?ああ、雨もやんだしこれから行く」
電話を切って茜ちゃんを見ると・・・・真っ赤になって俯いていた。
・・・やめろ・・・可愛すぎて、襲いたくなる。
俺は平常心、平常心と言い聞かせ
「隆平からだったよ。・・・雨もやんだし、駅に行こうか」
ちょっと茜ちゃんを覗き込むと、目が合う。
「あ・・・はい」
恥ずかしそうに頷くのを見て、ちょっと安心した。
避けられたら・・・泣いてダッシュしますよ?
倉庫を出た俺たちは何故か並んで歩かない・・・俺の2歩くらい後ろを付いてくる茜ちゃん。
少し歩いたところで、
「あの・・・さ」
話しかけて後ろを振り向くと、少し離れた後ろのほうで立ち止まっていた。
「どうかした?」
茜ちゃんの所に行こうとすると、ハッとしたように俺のところへ来て手を掴む。
「行きましょう!」
え?え??なんで手を繋いでんの?
茜ちゃんがどんどん進んでいこうとしたとき・・・
「・・・早苗?」
道路をはさんで建物の中に見えたのは・・・早苗と恵一。
しかもキスしてるし・・・。
ビクッと握られていた手が反応する。
振り向いた茜ちゃんの目には涙が溜まっていて・・・
「すみません。私が・・・立ち止まらなければ・・・」
ああ・・・俺に気がつかせないようにしたかったのか。
「気にしなくていいよ」
笑顔で言う俺を見て
「でも・・・」
あ・・・泣いちゃった。
そっと指で涙を拭いた。