片思い?両思い?


「元々俺が恵一に相談したばっかりに、ややこしいことになったんだから、俺が恵一と話をするよ・・・早苗」

「うん?」

「恵一と早苗がちゃんと付き合えるようになったら、俺と別れてくれるよな?」

「・・・うん」

「よし・・・じゃ、これから恵一を呼び出そう」

「え?今から?」

「ああ・・・こういうことは早いほうがいい」

「え、あ、うん」


俺は携帯を取り出し、恵一に電話をかけて、ここに呼び出した。

「隆平と早苗は場所移動して」

俺が言うと、2人は恵一が座るだろう席から見えないところで、声が聞こえるところに移動した。



「・・・日向ってあんなに行動力あったっけ?」

ひそひそと隆平と早苗が話している。

「ああ・・・あいつは元々あんな感じ。面倒見がいいし、優しい。引っ張っていく能力もある」

「そう・・・私と付き合ってる日向は、言いなりだった・・・喧嘩も沢山したけど、必ず許してくれたし・・・それにずっと甘えてたのかな・・・」

「・・・そうだな。好きだから自分を出せなかったのかもな」

「苦しめちゃった・・・ね」

「嫌、あいつはそれでも早苗ちゃんの側にいたかったんだろ・・・」

「・・・そう・・・」

「側にいると決めたのも日向だし、今別れようって決めたのも日向なんだよ」

「うん」

「もし・・・恵一とうまく行かなくても・・・日向と別れてやってくれねーかな」

「・・・・うん・・それが私が今まで優しくしてもらった日向に出来る、最後の優しさなのかもしれないね」




隆平と早苗が何を話していたかは聞こえなかったけど、早苗の笑顔が優しい感じだった。

少しすると、恵一がやって来た。

「よぉ」

「おす・・・座れよ」

「ああ・・・」







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