とりかえっこしようよ
ひかりちゃん、俺がそんなこと考えてるなんて想像できないのか。
それとも、未だに小学生の時と同じ、無邪気な俺だと思っているのか。
「本当はさ、うちに寄って欲しいけど、明日も仕事だし」
「そうだね」
「それにさ、このまま帰せなくなったら困るだろ?」
「うん?」
あ、つい本音が出た。
いくら何でも、ここまで言っちゃったら、わかるよな?
そっと反応を確かめると、赤くなったり蒼くなったり、多分頭の中でぐるぐる考えてるんだろう。
蒼くなって、不安な表情が浮かんだ。
そういえば、俺だけを待ってたって言ってたよな?
誰とも、付き合った経験がないって事か?
もしかして、何もかも「初めて」なんじゃないか!?
「ごめん、今の忘れて!」
慌ててシートベルトを外してドアを開けた。
「だから、これで帰るよ。また明日」
ひかりちゃんの顔も見られず、おやすみも言わずに、逃げるように車を降りた。
やっと再会できた夜。
一人で頭を抱えてマンションに戻った……。