とりかえっこしようよ
「それではご歓談下さい」
社会人として、初めての飲み会。
まあ、酒は強い方だからそれほど問題ないと思うけど、念のためドリンク剤でドーピングしておいたのは内緒だ。
早速、上司を順に回って、早めに役目を果たさねばと思っていた。
あともう少しで終わるか……というところで、ひかりちゃんの様子を見た。
同じ課の女性の先輩と飲んでいるらしい。
ちょっと安心した。
でもこの時、よく見ていたら良かったんだ。
向かい側に橋本が座っていたのに気がつかず、俺はそのまま挨拶を続けてしまった。
やっとひかりちゃんの元へ行ける、と思ってそちらへ向かったら。
「松本さん、大丈夫~?」
どうやら女の先輩が、ひかりちゃんの様子を気遣っているようだ。
「あれ、俺、もしかしたら飲ませすぎた?」
……橋本、お前がつぶしたのか!?
後で覚えとけよ……。
「……そんなに飲んでないよね~?」
そんなに飲んでないのにつぶれてる?
おかしい。
人目を気にする余裕がなかった。
ひかりちゃんに駆け寄った。
「大丈夫か!?」