とりかえっこしようよ
疑念〜同僚編2・side光〜


いっくんが、誰かと手をつないで歩いて行ってしまう。



行かないで。



置いてかないで。



ずっと待っていたのに。



やっと会えたのに。



またさよならなんて嫌。



「いっくん!」




自分自身の声で、目が覚めた。


ここは……?


タクシーの中だった。


「ひかりちゃん、大丈夫?」


「いっくん?」


私は、いっくんの肩にもたれ掛かるように座っていた。


「ごめん」


「え?」


「俺、そばにいられなくて……」


そばにいられない?


やっぱり離れて行ってしまうの?


「嫌!嫌!嫌なの!」


涙がどんどん溢れてきた。


「ひかりちゃん……?」


いっくんのスーツにすがりついて泣いた。


「ずっとずっと待っていたのに!

大好きなのに!

置いてかないで……」



大きな手で優しく背中を撫でられる。



「運転手さん、すいません。

目的地を変えます……」



いっくんの家?



「そんなに泣いたまま帰ったら、お家の方が心配するだろ?」



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