とりかえっこしようよ


いっくんが、優しいキスを「倍返し」してくれている。


最初は触れるか触れないかの軽いもの。


次第に、私を引き寄せる力が加わり、体も唇も、いっくんにしっかりと捉えられた。



緊張しすぎて、どうしていいのかわからずに固まっていたら、苦しくなってしまい……。


つい、手でいっくんの胸を押しやると



「……ごめん。

嫌だった?」


切なく震える、声が聞こえた。


ちゃんと言わないと、また、お互い誤解したままになる……。



「違うの!

息ができなくて、苦しいの」


肩で息をして、やっと全身に酸素が供給された。



「ひかりちゃん、可愛いすぎ」


また、私を閉じ込めていた腕に、力がこめられた。


「ちゃんと、鼻で呼吸しないと、これから先ますます苦しくなる。


もう一度、おさらい」


甘い声で囁かれたら、もう拒めない。


やっぱり、いっくんにはかなわないよ……。




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