とりかえっこしようよ
「うちは自営業だったから。
多分、お客様を大事にしていた両親の影響かな?
せっかく来てくれたお客様を失望させることのないように、笑顔で帰ってもらうのが何よりも大事だって。
お父さんは、いつもそう考えて、写真を撮っていたの」
亡くなる直前、家族写真を撮った日のことを思い出した。
あれから色々あったけど、お父さんの教えは、ずっと私の中に生きている。
「そうだ!
ひかりちゃん、俺の宝物、見てくれる?」
いっくんが大事そうに箱を抱えてきた。
「開けてみて」
そっと蓋を開けると、見覚えのあるものがたくさん入っていた。
小さな私が、いっくんへ宛てた手紙だった。