とりかえっこしようよ


「うちは自営業だったから。

多分、お客様を大事にしていた両親の影響かな?

せっかく来てくれたお客様を失望させることのないように、笑顔で帰ってもらうのが何よりも大事だって。

お父さんは、いつもそう考えて、写真を撮っていたの」



亡くなる直前、家族写真を撮った日のことを思い出した。


あれから色々あったけど、お父さんの教えは、ずっと私の中に生きている。



「そうだ!

ひかりちゃん、俺の宝物、見てくれる?」



いっくんが大事そうに箱を抱えてきた。



「開けてみて」


そっと蓋を開けると、見覚えのあるものがたくさん入っていた。



小さな私が、いっくんへ宛てた手紙だった。



< 155 / 200 >

この作品をシェア

pagetop