とりかえっこしようよ
「……ごめん。
なんか俺、ひかりちゃんを泣かせてばっかりだ」
私は首を振った。
「私こそごめんね。
……私、すっごく泣き虫だったでしょ?
でも、お父さんが亡くなってから、ほとんど泣いたことなんてなかったんだよ。
強くなったつもりでいたの。
なのに、いっくんの前だと、どうしてこんなに泣いちゃうんだろう」
手に持っていた写真をそっと取られて。
ふんわりと私の体を包み込む、いっくんの腕。
「今まで、本当に辛いときに泣けなかったんだろ?
君は優しいから、お母さんや弟さんの前ではしっかりしなくちゃって頑張ってたんじゃないか?
一番辛いのはお母さんだ、弟は私より小さいのにって。
そうやって耐えて、大学も諦めて、君はひたすら泣きたい気持ちを抑えて頑張ってきたんだね」
「どうして?
どうしていっくんには何でもわかっちゃうの?
どうしてそんなに優しいの?」
私は、彼の胸で泣きじゃくっていた。
「……だって、君は俺の『お嫁さん』だから」