とりかえっこしようよ
「覚えてる?
俺の酢の物と、君のパンをとりかえっこしたのを」
ひかりちゃん、こくんと頷いてくれた。
「あの日からずっと、君に言いたかった」
彼女の顔をしっかり見ながら。
「俺と、結婚しようよ」
ひかりちゃんが、おずおずと頷いて。
「私で良ければ……」
恥ずかしそうに、微笑む君を見ながら、ポケットに手を入れた。
「そのために、またとりかえっこしたいんだけど……。
君とハリーの『これから』を全部、俺にください。
代わりに、俺の『これから』と、これを受け取って欲しい」
初めてのボーナスで買った、エンゲージリング。
彼女の左手、薬指にそっとつけてみる。
良かった。
ぴったりだった。
「15年ぶりの『とりかえっこ』は、返品不可だけど。
覚悟はいい?」
「うん。
ありがとう。
私とハリーの『これから』をよろしくお願いします」
「一緒に、幸せになろう」