とりかえっこしようよ
結婚しても彼女は仕事を続けている。
諸々の都合上、同じ部にはいられないので、俺は都市計画課へ異動になった。
大学で学んだ専門も活かせるのでかえって有り難かった。
すっかりおじいちゃんになったハリーは、俺達の結婚を見届けたあと、すぐに逝ってしまった。
きっと、俺達が本物の夫婦になれたのを見て、一番喜んだのはハリーだったと思う。
「ハリー、今までありがとう。
向こうでお父さんと仲良く暮らしてね……」
単なるペットではない。
家族だったハリーがいなくなって心にぽっかりと穴が開いたようだった。