とりかえっこしようよ


「もう少し子どもが大きくなったら離婚する、妻には愛情がない、なんて調子の良いことばかり言ってた。

信じた私も馬鹿だったんだけど、その時は彼しか見えてなかった」



須藤さんはきっと、とても純粋な人なんだと思う。


好きになったら周りが見えなくなるのも、私にだって解る。


そんな彼女の気持ちを弄んでいた課長は、やっぱり女の敵だ。



「だから、課長があなたに絡むのが許せなかったの。

当時の私は、課長の奥さんに向けられない怒りを、あなたに向けていた。


……逆恨みして、本当にごめんなさい」



「いいんです、そんな。

もう過ぎたことですし、謝らないでください」



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