とりかえっこしようよ
「ひかりちゃんへ
もう、文通はこれでおしまいにしよう。
和也(かずや)はいい奴だよ。
きっと、ひかりちゃんのことも大事にしてくれる。
知ってた?和也はずっとひかりちゃんが好きだったんだ。
だから、僕がひかりちゃんから消しゴムをもらったのがうらやましかったんだよ。
和也とは、親が友達同士ってこともあって、今でも連絡は取り合ってた。
僕は、和也にひかりちゃんとの今までのことは内緒にしてきたんだ。
でも、もうそろそろひかりちゃんが辛くなってきたんじゃないかな?
僕はひかりちゃんのことをずっと忘れないよ。
ハリーのこと、お願いします。
今までありがとう。
ハリーの父 樹より」
私は泣いた。
こんなに泣いたのは、小学生以来だった。
こんなさよならをするくらいなら、カズくんのことを相談するんじゃなかった。
私にとって一番大切なのは、やっぱりいっくんだったんだ。