とりかえっこしようよ
いつか、ひかりちゃんとハリーを迎えに行ったら、ちゃんと好きだって伝えようと思っていた。
手紙じゃなく、ひかりちゃんの眼を見て、言いたかった。
直接言わないと、僕の本気は伝わらないと思ったから。
あの頃のまま、ほとんど変わらない純粋なひかりちゃん。
つい最近送ってくれたのは、制服を着てハリーを抱っこした写真だった。
真面目な制服姿。カラーリングも何もしていない、艶やかな黒髪。
眼はぱっちりしていて、睫が驚くほど長い。
和也以外の男子も、ひかりちゃんを狙っているに違いない。
和也が影で相当けん制してるんだろう。
きっと、和也に告白されて、本気で戸惑ってるんだろうな。
奥手で恥ずかしがりやのひかりちゃんだから、今まで和也がしてきた必死のアプローチなんて全く気づいていなかったんだろう。
そして、僕がいつも手紙で伝えようとしていたことも、気づいていなかったんだ。
手紙の最後に必ず「ハリーの父」って書いていた。
それはつまり「ハリーの母であるひかりちゃんは、僕のお嫁さんなんだよ」っていうメッセージだったんだ。
知ってか知らずか、ひかりちゃんも必ず「ハリーのお母さん」って書いてくれていたけど、やっぱり僕の気持ちには気づいていなかったんだね。