とりかえっこしようよ
変わらない私〜再会編・side光〜
 社会人5年目の春。




 今年採用された11人の新人の中に、いっくんがいた……。





 まだ新しいスーツを着て、部長の横に立って挨拶している。




「森川樹です。15年前に住んでいたこの街が大好きで、やっと戻ってくることができました」




 張りのある、落ち着いた声。


 眼鏡、かけるようになったんだね。


 私が知ってる男の子のいっくんとは全然違う「男性」がいた。



 心臓が、早鐘のように打つ。



 鼓膜にまでドキドキが聞こえてきそう。



 まさか、こんなところで会えるなんて。



 びっくりし過ぎて、彼がその後何て挨拶したのか、聞いていなかった。




 ただ呆然と、美形のサラリーマンになったいっくんの姿を見つめていた。



< 74 / 200 >

この作品をシェア

pagetop