とりかえっこしようよ
 家に帰って、急いで着替えた。


 家から日の出公園は割と近いので、歩いて向かうことにした。


 

 春とはいえ、この北の街の4月はまだまだ寒い。


 ところどころに雪が残っている。


 

 公園の前に着いた。


 ひかりちゃんを探して辺りを見回すと、ハザードを出した軽自動車が見えた。


 もしかしたら、あの車で来たのかな?


 車から降りてきたのは、犬を抱っこしたロングヘアの女性。




 ……ひかりちゃんとハリーだ。


 街路灯に照らされて、ぼんやりとひかりちゃんの顔が見える。




 ゆっくりとハリーを地面に降ろして、リードを握りしめていた。


 「きゅううん」


 ハリーが俺を見て、懐かしい声をあげた。


 胸がいっぱいになる。


 二人の距離が縮まる。


 あと、5メートル。


 
「ひかりちゃん」


 彼女はまた、泣いていた。


 泣かせたのもまた、俺だ。





「やっと、逢えたね」 

 

 
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