とりかえっこしようよ
いっくんのマンションの駐車場に着いた。
入口に横付けして、ハザードを点ける。
さっきの言葉が、頭の中でぐるぐる回ってた。
私、ずっと待ってたんだよ。
そう伝えてもいいの?
重くない?
でも、今言わなきゃもう車から降りちゃう。
何て?
ああ、もう!
「いっくんを、待ってたから。いっくんだけをずっと待ってたの!」
恥ずかしくていっくんの顔なんて見られない。
これで、伝わった、よね?
恥ずかしくて下を向いた。
「本当に?」
「本当だもん!」
「……良かった。俺だけ空回りしてるかと思った」
ん?
「こっち見て」
勇気を出して、顔を上げていっくんを見た。
きっと私、真っ赤な顔してる。
憂いを含んだ真剣な顔に見つめられて、心臓がどきんと反応した。
「……好きだ」