とりかえっこしようよ
「も、もう一度言って」
信じられない、とでも言うように、大きく開かれた眼。
何度でも言うよ。
ちゃんと、伝わるように。
「ひかりちゃんが好きだ」
やっと見つけた。
今度こそ、しっかり君を捕まえて離さない。
ひかりちゃん、俺に捕まる覚悟はいい?
ひかりちゃんが微笑む。
気持ちが通じた瞬間。
好きだ。
触れたい。
俺のものだって実感が欲しい。
でもここは、マンションの入口。
エントランスの明かりが車内にも射し込んでいる。
他人も通る。
「こんなところじゃ、まずいよな」
「え?」
触れるだけ、では済まなくなった時に。
「まぁ、色々と、ね……」