命の箱
「~さん」


名前を呼ばれた真奈は
祈るように診察室へ入って行った。


部屋に入った途端に
鼻につくアルコール臭。


このにおいを嗅ぐと少し緊張する。


娘を抱く腕に少し力が入る。


「どうされました?」

医者が優しく問いかけ
レナの様子を伺った。



ところがレナの様子を
伺った医者が目を見開いた。


ずれ落ちたメガネを直し
レナを凝視する医者。
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