命の箱
その言葉を聞いて安心した顔をした真奈は
ポケットから鍵を取り出し


庭へと出ていく


後ろを追いかける男。




「私、この箱が嫌いだったの」



庭にある雄一が置いた物置の前。
真奈は穏やかな顔で話す。


「大きくて邪魔だし
風が吹くとガタガタと音を立てるの。



でも今は雄一の思い出と
レナの命を収めた


大事な大事な箱なの」



ドアにかかる南京錠を
真奈は開ける。


錆びた物置の扉がぎいと音を立てる。




そこにはレナがいた。



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