命の箱
道路に面した真奈たちの家は
旦那の無駄に大きなバイクを置くスペースが
庭にしかなかったのだ。
じゃあ物置だけでもどけてくれと言ってみたが
それも
「ダメ!」
の一言で却下された。
何が入っているかわからない
得体のしれない物置を恨めしそうに見つめる真奈。
その物置は雨に濡れて
陰鬱な影を庭に落としている。
ご丁寧に大きな南京錠までつけられた
その大きな物置は
真奈の目の前に
確かに存在している。