「俺とキスしてみない?」
……保健室で。

「何だか、このままにはしておけないよなあ」

この俺が。

保健室まで、運んでやった女のコ目の前にして。

ただ付き添っているという、この状況。

……自分で自分が信じられない。


そのまま、捨ててくれば良かった。

嬉しそうに、ニカニカ笑って、布団にくるまって、まどろむりんごちゃんを見て。

何だか、腹立たしくなってくる。


無人の保健室、ベッドに寝ている女のコ。

何て言ったら、イケない想像するもんなんだろうけど。


うふふ……なんて、寝言を言いながら寝ているりんごちゃん。

……ちっとも、色っぽい雰囲気にならない。

基本的に、俺、自分から迫るってこと、したことないしなあ。

何だか勝手が違うわ。



「りんごちゃん!」
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