「俺とキスしてみない?」
「ふーんりんごって、
 【りんご】なのに苺味なんだ」

口に広がる、苺の香り。

見せつけるように、俺は唇を軽く舌で舐めた。

「ん、やっぱり苺味」

途端、ぱっと赤くなるりんご。

「・・・・・・・・ッ
 し、失礼しましたッ!」

……って、何故その返事?

爆笑したいのをこらえてたけど、小さく笑ってしまった。

ムッとしたのか、ベッドから飛び降りて、出て行こうとするりんごの腕を掴む。

「馬鹿か、知らないんだろ?
 教室一緒に行ってやるって、
 約束したじゃん」



……また真っ赤になったりんごを、俺は何となく。

「かわいい」

って、思ってしまった。




そして、りんごの名前だけは、忘れないだろうな、なんて思ってた。

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