「俺とキスしてみない?」
意地悪く言って、俺は強引にりんごのおでこに、自分のそれをくっつけた。

もうちょっとで、キスしそうになるくらい、くっつけて。

「熱はーないのに
 なんで熱いんだろーね?」

さっきぶつぶつと、「熱い……何で……」と呟いていたのを、俺はちゃんと聞いていた。

目を白黒させて、赤くなったり、青くなったりしているりんご。

ホントっ!おもしろい!!

もっとかまいたい衝動に駆られて、俺は、舌舐めずりして、言った。


「林檎みたい。
 甘くて蜜が
 たっぷりなんだろーな。
 喰っちゃいたいわ」


王子様とも、俺様とも違う、小悪魔みたいな表情で。

プライドの高いコでも、これでたいていの女のコは堕ちる。

いつもはそこまで手を焼かないけど、りんごは特別。

こんなにおもしろい女のコは、初めてだ。

だから、もっとしびれるような、熱いキスを、してあげるよ。

ね、りんご……。




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