「俺とキスしてみない?」
……。

はあ。

俺は溜め息を吐いて、口の中でつぶやいた。

『この鈍感……』

「くーき読めなくて
 すいませんねぇー、
 本当に気になったから、
 聴いちゃったけど別に?
 言いたくないんなら
 言わなくてもいーけどぉ……」

俺の声が聞こえたのか、りんごが口をとがらせて文句を言う。


「言うよ、
 鈍感娘にはちゃんと
 態度で示さないと、
 分かんないみたいだし?」

今度ははっきりと、意地悪く言った。

「!ど、鈍感って!
 ひど……ッ」
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