「俺とキスしてみない?」
「別にいーじゃん、
 遊びなら遊びで……
 なんで遊びのあたしにそこまで
 執着するの……?
 なんで?カイト君が分かんないよ……」

ぽろぽろとこぼれだす涙。

青白かった肌は、今は怒気をはらんで紅潮して。

声にならない嗚咽をもらし、心なしか呼吸も速くなっている。

それを見て、俺は胸の奥が締め付けられるように、痛かった。

りんごが悲しそうな顔をするたびに、襲ってくる痛み。

こんなの、初めてなんだ。


「俺だって分からねぇーし。
 りんごが泣くのを見ると
 なんか痛いんだよ。
 辛いし、病気になったかも
 とか思ってるけど」

でも。
< 64 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop