イヌとカメの物語

レッサ……

この村は、僕の故郷で。

お父さんがいなかった僕は、お母さんが、かけがえのない存在で。

お母さんとの、思い出の場所で……


でも気づいた時には、ここに住んでいて、

お母さんは、いなかった


「……イヌタ?」

「………あ、ごめん…」

違う。

記憶が、消されてるんだ。

お母さんが死んだ時の記憶がー…

「どうしたの??大丈夫???」

「…大丈夫……。」

「………じゃあ、僕はそろそろ行くね。」

カメタが荷物を持って、ドアに手を伸ばした。

「じゃあね。また会えたら…」

カメタが外に出ようとした。

そのとき、


「待って!!!」


と僕は叫んでいた。

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