イヌとカメの物語
そう思った時、近くでキキ-ッと音がした。
音がした方を見ると、
パステルな紫色の車が止まっていた。
「ハムタ…!!ハムタ!!!」
そのドアが開くのと同時に、そんなふうに叫ぶヒト族が1人、でてきた。
「……! アケミ……!!」
そして、目の前で2匹は抱き合った。
ポカーンとしている僕に、カメタが耳元で、
「ハムタの家族だよ。
ハムタはヒト族…アケミさんと生き別れしてしまって、それからずーっとアケミさんの事を探してたんだ。
で、アケミさんの家がレッサにあることを知って、行き先が同じ僕たちについてきたんだよ。」
それを聞いて、僕はさっき思ったことを後悔した。
例え口がわるくても、動物は動物。
僕がお母さんの記憶を探すように、ハムタもアケミさんのことを探していたんだ。
僕も、記憶を見つけたらハムタみたいに、幸せそうな笑顔を浮かべることができるのかな……