イヌとカメの物語
「僕の家は、予告も無しに“旅をしろ”って言われるんだ。」
「え……準備もしないで?」
「うん」
~昨日 カメタの家~
「「ごちそうさまでしたっ!!」」
昨日の昼ご飯が終わったとき、お父さんに呼び出された。
お父さんは“レッサ戦争”と呼ばれる大きな戦争で怪我をしてしまって、寝たきりなんだ。
僕はすぐにお父さんの部屋に行った。
「お父さん、どうしたの?」
「おぉ、カメタ…
そこのカメラをお前にやるよ」
お父さんが指した机の上には、まだ箱からだしていない新品のカメラがあった。
「うっわぁ、本当に!? ありがとう!!」
「でもな…その代わりに条件があるんだ」
「いいよ!だってこんないいカメラくれたんだもん♪
お風呂掃除?晩ご飯の準備?」
「……一人前と認められるための旅は知っているな?」
「え………う、うん」
「その旅に今から行ってほしい」