イヌとカメの物語
僕は耳を疑った。
いきなりそんなこと言われたって…
疑わない人のほうがおかしいとおもう。
「いきなりで驚いていることはわかってる。
でもな、これは乗り越えなくちゃいけない。」
「…わかった。行くよ。
でも、いつ帰ってくればいい?」
自分でも声が震えていることがわかった。
「それで、さっきのカメラ。
そのカメラの容量がいっぱいになったら帰ってこい。」
お父さんは静かに、でも悲しそうに言った。
「でも、いい加減な写真はだめだ。
ちゃんと…“生命”がわかる写真を撮ってきなさい。
旅で色々な、たくさんの“生命”と触れ合うことが出来るから」
「……」
「大丈夫!頑張って。いってらっしゃい!」
「う″……わがっだぁ…………」
~イヌタの家~
「……という訳なんだ。」
「なるほど…それで準備が出来なかったんだ」
「うん…水でさえ持ってこれなくて……
本当に助けてくれてありがとう。」