イヌとカメの物語

カメタは驚いた顔をした。

多分、僕も。

「………………いいの?」

「いいよ。友達だろ?」

「…友達だからお風呂も借りちゃうよ?」

「ふふっ いいってば!!」

変なやり取りが続いて、二人で顔を見合わせて、笑った。

僕はしばらく1人暮らしだったから、

…カメタが来て、本当に嬉しかった…。


お風呂から出てきたカメタは、とてもきれいな緑色をしていた。

「あれ?さっきまであんぱんみたいな色だったのに……?」

「あんぱん…って!失礼だなぁ。

あれは土ってか泥!!

こびりついて落ちなかったんだよね。」

お風呂場から泥の匂いがしたような気がした。

「ん……じゃあそろそろ寝る?」

僕は電気のヒモに手を伸ばして言った。

「あ、うん。ありがとう。」

パチッッ……

真っ暗闇になった部屋には、せっけんのにおいでなんだか心地よかった。

……っていうか……

さっきカメタ、“レッサ戦争”って………

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