風の吹くままに。 〜短編時代小説〜
全力疾走。
ガチャン
あるよく晴れた日の朝。
勢い良く長岡家の玄関の扉が開いた。
「お母さんっ!!行ってきますっ!!」
玄関の扉を開けながら
後ろに少し呆れた顔している母に手を振った。
「ちょっと…待ちなさい。あんた、受験票は?」
「あっ!!」
母が手に持った一枚の紙切れをひらひらと揺らす。
玄関から入ってくる風と共に何処かへ、
今にも何処かへ吹き飛んでしまいそうだ。
「もう母さん馬鹿な娘を持って大変だわ。」
大きく溜め息をつく母に、
――少し失礼ではないか?娘に対して。
と思いながら受験票を受け取る。
「余計なお世話です。」
と一言添えて。