風の吹くままに。 〜短編時代小説〜
ドンッ
由紀の体に大きな衝撃が走った。
男の子は助けられたが、代わりに由紀の体がはねられてしまったのだ。
「…っ女の子が!!誰か救急車を呼んでー!!」
そんな声がするけど、由紀の視界は暗闇に霞んでいくばかりだった。
自分の周りにぬるりとした感触、血の匂い。
…――もう駄目かも。
…――じぃちゃん、ごめん。私も今から行くから。
由紀が死を覚悟した時だ、刹那に辺りに閃光が走る。
「…っ!!?」
だがそれは周りの人には見えてはおらず、由紀だけに見えていた。
「だ、れか…。」
最後の望みをかけて、苦し紛れに呟いた言葉。
そして光りと共に、由紀の意識はぷつりと途切れた。