time
「私、ずっと小さい頃から疑問だったの」
ん?と胸に押しつけていた手の力を弛め顔を見合わせた。今にも泣きそうな眉間の皺に指を伸ばし指先でちょんちょんとつつく。
「トラックに引かれたりして、綺麗に飛ばされてコンクリートに血だらけで寝転がっていたはずなのに、次に目を開けたら何もなかった時に時間が戻ってるのは何でだろうって。蒼衣の仕業だったのか」
「・・・、驚いた」
眉間に触れていた手を掴み口許まで持って行くと優しく愛しい恋人にするみたいにちゅっとキスを落とした。馬鹿みたいに真っ赤になった顔を隠そうと俯くけどきっともう手遅れだ。彼は気付いている。
「時間が戻ってる自覚がある人なんて初めて見た」
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