time
「オレンジジュースは神様の飲み物だからね」
「どこの神話だよ」
けらけら笑う蒼衣にふと私は真顔になり問うた。
「同じ道を辿ることはないの?」
例え時間を戻されたとしても同じ道をまた行くならば永遠にループし続けるのでは無いのではないかと考えたのだ。私はたまたま時間が戻っている自覚があったから道を変えたり、事あるごとにずらしていたのだ。だが、他の人はどうなるのだろうかと。じゅ、とオレンジジュースを吸った。仄かなオレンジの薫りと酸っぱい味が広がる。
「一度進んだ道にはもう二度と行けないんだ」
「自動的に違う道に行くってわけ」
「うん」
カルピスを飲み干した彼は眩しいぐらいの笑顔で私を見る。染められていない茶髪が光に透け金髪に見えてとても幻想的だった。優しい笑みはホッとする。
「俺が守るよ」
「何をしてでも、俺が守るから」
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